「新しいテレビの空気が消したM−1」DMB#10
Dhingana Mail バックナンバーシリーズ (DMB)
2012.12.09 Dhingana Mail #10
「新しいテレビの空気が消したMー1」
The MANZAIの決勝が12/16に迫ってきました! 笑い飯や千鳥などの実力派の他に、ウーマンラッシュアワーやトレンディエンジェルなどの最近出てきたコンビも決勝に残ったので楽しみです!
そんな中、少し振り返って今回は「The MANZAI」の前身番組「M-1グランプリ」が終了した理由を考えたいと思います。
「本当の理由は、2つある。1個は、僕、昔漫才してたでしょう。でも、8年間しかしてないんです、僕。漫才というもんを勉強させてもろうてそっから出て今の自分があるのになんか漫才を踏み台にしたような感じを自分の中で申し訳ないところがあるんですよ。だからいつかどっかで漫才というものに対して恩返しをしないとアカンと。
ただあと1個はですね、「辞めさせな、アカンな」と思ってね、沢山。準決勝に行かん奴は辞めなさいと。一番不幸なのが才能のない事に気づかずいつまでもやってる奴。結構、多いんです。こいつらを何とか辞めさせてやらんと次の人生不幸になると。」
紳助さん流の哲学のある笑い論から作られた番組。最後の年となった第10回でさえも、視聴率も関東で20%、関西で30%を超える神番組。 2010年、突然の終了に世間では様々な憶測が飛び交っていました。
主催のオートバックスが離れた、M-1で優勝しても人気がでないなどなど、色々ありますが、 自分は、新しいテレビの空気がM-1を消してしまったと考えます。
2001年の第一回の頃は純粋な漫才審査でした。
緊張感のある会場で、実力派中川家が優勝し、審査院も真剣にダメだしをしていて凄く濃い内容の番組でした。 第二回には、笑い飯のような新しい漫才のスタイルも現れ(シャンプーハットがそれ以前にWボケをやっていたがM-1決勝に残る実力派なかった)、 弾き語りのスタイルを取ったテツ&トモに対して談志さんが「お前らはここに出てくるべきではない」といい放ち会場が凍りつくなど、純粋な漫才の戦場として物凄いレベルの高いコンテンツとなっていきました。
しかし、徐々にその形が崩れ始めていきました。 2008年に結晶に残った素人のコンビがまったく面白くなく、「素人も天下とれる可能性があります!」的なヤラセ染みた演出があったり、 舞台裏のトークや漫才の後の時間が長くなったりと、漫才審査以外のバラエティ要素がウケると診断され純粋な漫才審査以外の演出が多くなり始めました。
審査よりも流れを大事にされ、みていてハラハラする緊張感から見ていて心地よいものとなっていく中で、 前のコンビのネタをいじったり、テレビでよくみるキャラがうけたり、客席にアイドルタレントを呼んで視聴率をあげたり、 テレビでの王道の流れを審査中に入れたり、そして最後の最後、笑い飯が「最後は花を持たせてやるか」での優勝。
いつのまにかタダの漫才トーク番組に変わっていってしまいました。
紳助さんと松本人志さんはこの状態では純粋な漫才が出来ないと思いやめたのではいかと考えます。
そして新たに始まった「The MANZAI」ナイナイが司会、たけしさんが主催。 緊張感のないホンワカバラエティ番組となってしまい、楽しい空気はありますが、純粋な漫才の審査のハラハラ感がなくなってしまいました。
確かにその中で面白い流れも生まれています。 今回のThe Manzaiのテレビでやった予選でも、スリムクラブがウーマンラッシュアワーのネタを丸ごとパクリやってしまうという、 ついにもうとりあえずウケるであろう尺をとっとけばなんでもいい的な壊しの流れもあって、そっちの展開ももちろん期待してはいるんですが、
そして、視聴者の中にはそっちの流れのほうがいいという人もいると思いますが、 自分は緊張感の中、磨かれた漫才を披露する真剣での戦いをもう一度みたいと思っています。
==Dhingana Mail ==
毎週日曜22:00に ラジオの更新情報とコラムをお届けしています。
メルマガ限定のプレゼントもあるので是非登録お願いします!