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ORDO Records 代表 & Dhingana Radio Station 放送作家 yusucaster のブログ

スタジオ地図の齋藤さん

自分がレーベルを運営する上で参考にさせてもらっているのは、アニメのスタジオである。初めに自分が参考にしたのはスタジオジブリだった。鈴木敏夫さんの考えや戦略は、自分の教典といっていいぐらいかなり見習っている。著書を全て読み、ラジオを全部聞き、色々な場所での彼の発言を参考にしプロデューサー、そしてスタジオの代表としての役割などの多くを学んだ。そして現在若手プロデューサーの中で尊敬しているのが、その鈴木さんを師として育ったProduction IG、スティーブンスティーブンの石井朋彦さん、そしてスタジオ地図の齋藤優一郎さんだ。

 

今日は東京コンテンツインキュベーションセンターで齋藤さんの「アニメーション映画プロデューサーの役割と醍醐味」という講演に参加してきた。

細田守監督の映画を創るための会社「スタジオ地図」を立ち上げた齋藤さんのことは、鈴木敏夫さんのラジオ「ジブリ汗まみれ」で知った。本人も公開処刑だった、と語る程の鈴木さんによる齋藤さんへのおおかみこどもの雨と雪の宣伝に対してのダメだしの回。初めてこの回を聞いたとき自分は正直、細田守監督はプロデューサー選びに失敗したんじゃないかと思っていた。それはある意味で、自分が鈴木敏夫さんの持つプロデューサーとしての色がプロデューサーには絶対に必要だと思っていたからだ。

 

しかし、今回の講演を聞いて感じたのは、齋藤さんは鈴木敏夫さんとは全く異なる種類のプロデューサーであり、ある部分でもの凄い突出した能力をもつ人なのではないかということであった。

何か「求められる事」に対してのチームを創る火付け役、色々な事を人に任せることの出来る素質、話しを聞く中でおそらくこれらの能力がある人だと思った。

これは鈴木敏夫さんの著書「仕事道楽」で語っていた、尾形英夫さんのような色を持った人なのではないかと思った。

例えば作品を作る過程で、齋藤さんはおそらく自分の出来ない事を認識できているため、その足りない部分を補うためそしてその部分の求められている事に対しての結果を出すチームを創る事が出来、そして任せる事ができるのだ。

おおかみこどもでは、東映の川村元気さんをチームに加え、彼に色々任せ本人はスタジオ地図を創る事に従事していたと話す。おそらくそういった経営者的能力が凄く高い人なんだろうと思う。

話し言葉から推測しても、齋藤さんはあまり比喩表現などは使わない。とにかくわかりやすい直接的な表現を使っている。これは彼がアメリカに留学していたからかもしれないが、端的に的確に必要な事だけを述べるような口調だった。

例えば鈴木敏夫さんや石井朋彦さんは、比喩表現を好んで使い、例えばあることについて話しだすとかなり色味を帯びた面白い話にはなる。しかし、齋藤さんのような形態は凄くわかりやすく端的なので、チームが理解しやすくまとまって動きやすいのではないかと考えた。

 

個人的に色々なことを考えながら話しを聞けたいい90分だった。

 

「映画は平均的に制作に約2年かかる。

 人生の2/80を懸けるに値するチームを創る事がプロデューサーの役割。」

凄く的確で齋藤さんらしいこの言葉が印象に残った。