チェンジメーカー/渡邊奈々
近年すごく人気のある「社会起業家」という生き方。
日本だと、マザーハウスの山口さんやTable for Twoの小暮さんなどを見て、ビジネスという手法で社会問題を解決していくという面白い発想に惹かれて、社会起業家の方たちの経営方法や考え方などを追っかけまくった2011年となりました。
今回は世界中の様々な社会起業家達を取材しまとめた、一人の女性フォトグラファーの本を紹介します。
チェンジメーカー/渡邊奈々
Social Entrepreneur (社会起業家)
「社会福祉」というコンセプトを持つsocial、と「お金儲けのための起業」であるentrepreneurという全く相反する2つを組み合わせた造語が「社会起業家」よ。
これが表す新しいコンセプトは、お涙頂戴の古くさい社会福祉でもなければ、儲ければ勝ちという従来のビジネスでもないの。両方を組み合わせた全く新しい社会問題解決のあり方ともいえるし、新しいビジネスのあり方ともいえるわ。-本文より引用
90年代から日本の終身雇用の理想は崩れ、自殺の増加、子供のひきこもりや不登校などの問題が浮き上がり、しかしそれに対し無関心とあきらめを装い続ける多くの日本人に対し、
日本の大学卒業後から、NYで写真を通して仕事をしている渡邊さんは、幸福の再定義が必要、仕事の再定義も必要だと思っていました。
そんな時、この話をNYの友人から聞き、興味を持ち、自分の将来を模索している人たちの何かのヒントを掲示出来れば、と思い社会起業家の方たちに取材を始めたそうです。
本書の中には18人もの世界で活躍する社会起業家達のお話しが書かれています。
社会起業家の父であるアショカ財団を立ち上げたビル・ドレインさんのお話から、
日本の不登校児に向けたフリースクール(スマイルファクトリー)や、日本エイズのエイズ患者を支えるアートセラピスト(ハウジングワークス)などの事例、
フェアトレード認証機関や、ホームレスの方たちにクリエイティブな発想で住居環境を改善したコモングラウンドコミュニティなど、色んな種類の方たちを紹介しています。
中でも僕が惹かれたのはSEEDS OF PEACE
敵対民族のティーンエイジャーを対象とした共生サマーキャンプを主催する団体。
ユダヤ人である代表のワラックは、幼い時にナチスの排斥に遭い、命からがらNYへたどり着きます。その経験から「平和の種」まくというアイデアを実現しようと決心します。
「パレスチナ系アラブ人とイスラエル系ユダヤ人の子供を一緒にしてサマーキャンプを催したらどうだろうか?」
というとんでもない発想を、本当に実現するという快挙を成し遂げます。
集めた敵同士の子供たちを「英語」という共通の外国語を使い、より客観的にお互いの敵対感情や両民族のいがみ合いを見つめていく。そしてお互いの憎しみを何時間も何日も吐き出す。そして、おろかなのは、憎しみを持ち続け、殺し合いを止めない事だ、という事に気が付きます。
この活動は2000年にユネスコ平和賞を受け、今も年間750万ドルという大きな予算のもと活動を続けています。
この活動にすごく興味を持ちました。
この発想を実現したワラックさんと、その思いを絶やさないよう、理念に感動した人々が集まって平和の種をまき続けているという事に、すごく心を打たれました。 いつになるかわかりませんが、絶対に参加しようと思います!
本当にたくさんの活動が紹介されているので、興味のもてる活動も見つかると思います。